チ#ブログ

きまぐれに綴った チーのひとり言です。

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忘れえぬ光景 

新田次郎の「アルプスの村 アルプスの谷」を
移動時間に読みました。

昭和36年頃の旅行記ですが
スイスを皮切りに、ヨーロッパアルプスを転々と巡った新田氏が
やっぱりスイスが良いと、スイスに戻ってきて

ここ、エンガディン地方が日本に似てると感じます。

それでもサンモリッツとかはあえて避け、隣町のポントレジーナに宿をとったけれど
彼にはここも「豪華な避暑地」と映ってしまい、

逃げるように訪れたのが、イタリア国境に近いソーリオ村でした。(Soglio)

そこで彼は、自分の幼年期にそっくりな少年と出逢って、

すっかり、この村が好きになる。

「おそらくこれほど美しいものはどこへ行っても見られないだろうと私は思う。
その美しいものを、ここにいる日本人二人だけで眺めているということも、何かの偶然か、夢の中のことのように思われてならなかった、、、云々」


ソーリオ  どんなとこなのか。

私も行ってみたいと思いました。






ソーリオは、エンガディンカードのエリア外なので、別料金だし
切符も、買わなきゃならんのですが、

毎日毎日、ロープウェイ生活が続くのもなぁ、、という気になり
思いきって一番バスに乗り、ソーリオに行くことにしました。

朝のベルニナ山群を眺めながら、
サンモリッツ、シルヴァーブラーナ、シルスと3つの湖を越え

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バスは、どんどんサンモリッツから離れていく。(^_^)/~

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そしてエンガディンエリア、ギリギリのマローヤ、その先のマローヤ峠を越えたら、
後はもう、バスは意を決したように九十九折れをガンガン下っていきます。

ついにブレガリア渓谷まで。

その間、標高差1500m 
見上げる山がどんどん高くなっていき、うかうかしてたら車酔いしそう。
ちょうど日曜日ということもあって、次々と上がってくる車の列を、
運転手は巧みにかわしていく。

いやはやまさに名人芸! (女性でした、、)

渓谷まで下っても、谷間の集落は、どこも小さく道幅も狭い。
そこを、バスは壁ギリギリで、横、擦りそうになりながら、平然と進んでいく。
器用にすり抜ける度に、乗客からは深いため息、、

そしてようようプロモントーニョ。
ここでバスを乗り換えて、いよいよソーリオ村へと入っていきます。

森林帯をジグザグに上っていくさまは、まるで、立山室堂へのバスのようだと、
(笑)



そしてついにソーリオ村。

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運転手にお礼を言って、バスを降りると、、


うっわぁ~~~~~~!

なんじゃこれ!



いきなり目に飛び込んできたのは、なんと鋭利な針峰群! 
見ているだけで、痛くなりそうな、、
(なんちゅう表現の貧困さ!) (>_<)

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あの、一番尖がってるのが シオーラで、その塊がシオーラ山群
それの右手は、ピッツ バディーレの、バディーレ山群


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両方の山群を分断するように不気味に光って見えるのは、おそらく氷河、、

私たちは、ただあっけにとられ、この、もの凄い光景に吸い込まれるように
ヨロヨロと近づいていきました。


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偶然、見つかった案内所で地図だけもらい、、しばし山へと通じる道を探ろうと、、
なんだか、村全体が迷路みたいですけど、、


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でも大丈夫、

私には、山への道が分かるから、(←新田次郎のパクリ) 


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18世紀の姿をそのまま残したレトロな村を通り抜け
私たちは、村が見下ろせる高台に登りました。

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「素朴」という言葉がぴったりの、石造り集落、その真ん中に、
ポツンと教会の塔が聳える。


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山道をさらに進めば、さっきの針峰群が忽然と現れて


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眼下には、今しがたバスで越えてきたばかりのブレガリア渓谷、
そして点在する集落なども点々と俯瞰できる。

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薄暗い遊歩道
ところどころ枝道が上がってきているところなど、まるで六甲そっくり。
イテッ!(笑)

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このままずんずん登っていってしまいそうで、私は適当なところで踵を返し、
可憐な花を拾い集めながら、村へと戻って行きました。

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しばし村を散策。

と言っても狭い村内、すぐ人の家にぶち当たるので
そんな、他人の家の庭先を、見知らぬ外人がうろついても良いものか、、

と、おっかなびっくり、


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栗の花のニオイがプンプンすると見上げたら、おぉ、今満開!
そうか、栗が名物だったと思い出し、たまたまの店で栗のお菓子を買いました。


朽ちた倉庫、石造りの煙突
油断してたら村内、どこからでも、針峰群が飛び込んでくる。

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旅行者にはそれがあまりに唐突で、飛び込む度にドキリとなります。(笑)

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バスの時間まで、間があるので、ちょっとレストランに入ることに。

007に似たナイスガイのウエイターさんが、注文を訊きにきて、

スープとサラダだけなのに、嫌な顔一つせず、ちゃんとクロス、ナイフ、フォーク、ナプキンと並べていく。

やがて、お料理が運ばれて、

「ボナペティ-ト」(おあがりやす)

うっ イタリア語! 
そういえばSoglio 村の綴りもイタリア語、、、ここはイタリア、、みたいなん?


確かに、本日のスープはミネストローネだし、

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コーヒーはエスプレッソだし、、
さっきから、グラーツィエとかいうてはるし、、

山を見ながら、ボーっとしちゃって、なんだか、とっても寛いでます。

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これ、何ですか?

テーブルクロスに刷られた「蘭」の字を崩したようなロゴマークを訊ねたら、
007はぶっきらぼうに

右のひょろっとしたのが教会で、
左のデコボコしたのが山。


あ~だったら真ん中の、うにょうにょにしたのは「村」ですね。


いや、そうではなくて、緑、、その辺の、、
と、手のひらで辺りの木立をぐるりと指して言いきりました。


グリン! 

一瞬、私は固まった。


ソーリオ村のロゴなのに、ソーリオ村を誇示するものは何もなく、
描かれてるのは神と自然、、

それが自分たちの誇りであり、自分たちの原点であるかのように

この小さな村では、そんな謙虚な気持ちが、ずっと息づき
昔から今日まで受け継がれているのだろうか、、

打算の欠片もない、、


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私は、ほとほと恐縮しながら、
ソーリオ村を後にして、再びバスで九十九折れをマローヤまで戻って行きました。



マローヤ
ソーリオを訪れた時に、新田次郎が泊まった街です。

そしてここには、セガンティーニのアトリエがある。
(冬場は寒いのでソーリオに滞在していたようですが。)

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その先へ進むと、嘗て隣国イタリアからの侵入を監視していたベルヴェデーレ塔

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さっそくこれに登ってみました。

ここからの見晴らしは、見張り台だけに天下一品!

さっき通ったブレガリア渓谷

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サンモリッツ方面の湖群、、

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眼下のミツも、、全てが一望! (。。;   (笑)

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セガンティーニがここに住みたがっていたのも分かります。


まだもう少し時間があるかと
分岐を折れて、さらに、氷河に削られた穴というのを見学に行きました。

分岐がいくつも現れたけど、ここはヤマ勘、、(^^ゞ


おーい、こっちやでぇ~~!

大声で喚いていたら、湿原のベンチでお爺さんが、静かに読書にふけってる。

す、すみませ~ん! 


と横をコソコソ通り抜け、、、アルペンローゼの咲く道を、まだかまだかと、
意外に遠い、氷河の穴ぼこ。


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バスの時間に間に合うかどうか、不安になりつつ、さらに奥へ


そしてついに、穴ってこれか? 井戸ちゃうの? 

みたいなとこに行き当たる。

氷河の穴って、言われなければ分からない、(笑)

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さぁ、戻ろう! と、来た道を全速力!


と、その時


さっきの読書のお爺さんが、大股でワッシワッシと登ってくるのに
バッタリと出くわした。


さっきは座ってたから気づかなかったけど、爺さんは結構立派な体格で、肩幅も広いし
頑丈そう、、

山、やってる人や!

思うや否や、、「コンニチ~ハ」


え? 日本語、、、
ギョッとして顔を見ると、満面の笑みでイタズラっぽく笑ってみせた。


ヤ ラ レ タ! (>_<)

私は、一言も応戦できぬまま、可笑しくて転げながら
夢中で坂道を駆け下りました。


サンモリッツ近郊でも、ケーブルやロープウェイから離れて、山中を歩いていたら
よく、声を掛けられます。


ハロー ならば、ハロー と返すが

他に、クルチー(?) これがなんと発音してるのか分からない。

相手がクルチーなのに、こっちがハローでは、シメシがつかない。

恐る恐る、「クルチー」と返す、そしたらまた「クルチー」

セガンティーニの小屋の時など、スタートが早かったもんで
下山してたら「クルチー クルチー」の嵐になって、、(笑)


どう見ても黄色人種、地球の反対側に住む外人なのに、
気軽に声かけてくれるとやっぱり嬉しい。
たまに、何を間違えたか、私に道を聞いてくる人もいたりして、、

山人は、万国共通、友だちなんだと、

「クルチー」か。

覚えておこうと帰国後に、さっそく単語を調べたけれど、
そんな言葉はどこにも見当たらない。

じゃぁ、あれは何だった?
私の挨拶、なんて伝わっていたの?

半ば怖ろしくなりながら

ついに、スイス語の「こんにちは」にあたる言葉が Grueezi. (グリュエツィ)だと、

これか!


グリュエツィ VS クルチー


ゼンゼン違いますやん!  


みんなずっと、私の滑稽な挨拶を、黙って聞いてくれていたのかと、
思い出す度、恥ずかしくて、今だに顔から火が出てる。

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小さいホタルブクロ、、ホタルコブクロ? (笑)

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マローヤからサンモリッツに戻る途中で、セガンティーニ美術館に寄りました。

カメラノー ザックノー

全て、ロッカーに入れさせられて、それでもまだ、監視カメラで見張ってる。(笑)


この厳重な警戒態勢の中、

セガンティーニの3部作は、最上階のドームの部屋に並べて掛けてありました。

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サンモリッツ滞在中は雨だった、という新田次郎氏も、まずここを訪れて
暗い絵ばかり、、でも、どの絵にも必ず一筋の光明が射している、、
と解説していました。


画像がなくて、申し訳ないですが


私は、一枚一枚の絵に描かれた山が、色を混ぜ合わせるのではなく、
カンパスの上に筋状に色を重ねていくその、とてつもなく繊細で面倒くさそうな作業に挑み
セガンティーニが「山」を如実に表現しようと試みた、そのひたむきさに感動しました。


山を描かせたら、セガンティーニの右に出る人はいない、と言われるほど、
彼は山を描くことに執着した人だったようです。

イタリアからスイスに移り住み、
以降、仕事に有利な都会から何度もお呼びがかかろうとも、貧乏と闘いつつ
決して遠くへ行こうとしなかった。


ミツは、さっきから三部作の前で絶句したまま。(まさかうたた寝?)


私も座って、絵を眺める。


あぁ、この絵はソーリオだ、、こっちの景色はマローヤで、、
これは、昨日登ったセガンティーニの小屋からの景色に違いない。


私は、新田次郎と、セガンティーニの両方に会えた
今日のことは、きっと一生忘れないと、何度も何度も思いました。




新田次郎の小説を読んだとき、彼は、ソーリオで出会った少年に、
自分の原風景を重ね合せて、この村に惚れたんだろうと直感したけど

もしかしたら、セガンティーニが彼をその少年に会わせたのかもしれないし、
セガンティーニがそこにいたから、新田次郎氏もソーリオへ彼に会いにいく気になったと確信しました。

そしてきっと、セガンティーニの生き様を想い、感慨にひたっていたと思います。


また行きたい。


















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コメント

パチパチパチ!

良い所は何度でも行きたくなる!はるか先の老後の楽しみに取っておいて下さい。

老後が近づいた私には行く所が限られてきました。
ですから、チー様のレポは貴重な経験です。(合掌?)

さえ #- | URL | 2013/08/01 07:36 * edit *

uwa-

いいところへ 行かれましたね。
さえさんの コメントふるってますね。

洗濯物ほしたら 今一度ゆるりと拝見。

摩耶山さん歩 #nQ5bPT7s | URL | 2013/08/01 07:41 * edit *

新田次郎さんの 作品が次々出版のころが 青春でして、
いくつか 会社の図書館で借りてよんだりしてましたね。
まぁ 移動中に読まれる本が絶妙ね。

すばらしい ところですね。
老後って もう老後に突入したような気がするけど
どこも なかなかいけないけど 行きたい所に
私も入れたいです。

ありがとうございます。
続きもガンバ

摩耶山さん歩 #nQ5bPT7s | URL | 2013/08/01 08:10 * edit *

さえさま

いやいやお励ましのおかげで、どうにか最後まで書けました。
もしも体調不良がなかったら、ここまで書く気にならなかった(?)(^^ゞ 感謝でおます。

老後が近づくと行けなくなるのは日本の山で、意外とあっちは行きよいです、出すもん出せばの話ですが、、ぜひ、円高の時を狙ってて。(涙;

ドジョウは二匹いないので、もしもまた行けたら他にします。(^^ゞ

チー #WcmT4hFA | URL | 2013/08/01 11:22 * edit *

てるみさん

新田次郎さん、読んではりますよねぇ。
でも?青春時代から山好きだったの? 私は神戸にいながら山とは無縁、せいぜい丘に上がってたぐらい。(河童か!)
でも、なんでか小学校の図書室の隅で埃を被った登攀記録を読んでいる変な子でした、、(笑)

アイガー北壁とかも当然、読まれてますよね。
マッターホルンとか、、あっちも是非是非候補に!
でもまずは、夏山ですよね。良い夏を!(^_-)-☆

チー #WcmT4hFA | URL | 2013/08/01 11:28 * edit *

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